当院では、5~9歳頃のお子さまを対象にした小児矯正「咬合誘導(こうごうゆうどう)」を行っています。
咬合誘導とは、小さなお子さまならではの、未成熟でやわらかい顎の骨の成長を利用する矯正方法です。
今回は、「お子さまが小さな時期に始める小児矯正「咬合誘導」のメリット」をご紹介します。
目次
■咬合誘導(小児矯正の1期治療)の内容
◎お子さまの顎の成長を利用して矯正を行います
小児矯正の1期治療(5~9歳頃)では、お子さまの顎の骨の成長を利用する矯正「咬合誘導」を主に行います(※)。
<咬合誘導の目的>
①顎の健全な成長をうながす
②食事、会話以外はお口を閉じて口呼吸する
③正しいお口の使い方(のどの筋肉のみを使って飲む、全体の歯でしっかり噛む)を身につける
④舌の位置を正常化する
⑤歯並びを乱れさせる悪い癖(口呼吸、舌癖(ぜつへき)、指しゃぶり、頬杖など)を改善する
(※)歯並びの状態によってはワイヤー矯正やマウスピース
矯正による通常の矯正治療を行う場合があります。
■お子さまが小さな時期に咬合誘導(1期矯正)を始めるメリット
メリット① 未成熟でやわらかい顎の骨の成長を利用して矯正を行える
咬合誘導はお子さまの顎の骨の健全な成長をうながすことが第一の目的です。
お子さまの顎の骨が未成熟でやわらかい5~9歳頃までの時期に咬合誘導を行うことで、顎の骨格を適切に広げやすくなります。顎の骨格が適切に広がることで歯の生え変わりの際に永久歯がまっすぐ生えてくるスペースが確保され、将来の綺麗な歯並びにつながります。
顎の適切な成長により、お顔立ちのバランスが整う効果も期待できます。お顔立ちのバランスが整うことで、口元が前に突き出す口ゴボ(ゴリラ顔)・アデノイド顔貌・顎無し顔になるリスクを回避しやすくなります。
{10歳頃から上の年齢になると咬合誘導が難しくなります}
原則として、咬合誘導はお子さまの顎の骨が未成熟でやわらかい5~9歳頃までの時期にしか行えません(※)。
(※)患者様や症状により、咬合誘導を適応できる
年齢に多少の個人差が生じるケースがあります。
個人差はありますが、10歳頃(永久歯の犬歯が生え始める頃)から上の年齢になるとお子さまの顎の骨格が固まり始めます。顎の骨格が固まり始めた場合、顎の骨の成長を利用する矯正治療である咬合誘導を行うことが難しくなります。
メリット② 歯並びを乱れさせる原因の根本的改善にアプローチできる
咬合誘導ではお子さまの顎の骨の健全な成長をうながすと共に、以下のような、歯並びを乱れさせる原因の根本的改善にアプローチします。
・口呼吸
・舌癖(ぜつへき)
上下の前歯のあいだに舌をチロチロと出す、前歯の裏側を舌で押すなどの悪い癖
・指しゃぶり
・頬杖
・誤った飲み方・食べ方
頬の力で押し込むように飲む、顎をしゃくって飲む、前歯でかじり取らず奥歯だけで噛んで食べるなどの誤った飲み方・食べ方
メリット③ 歯並びの後戻りが起きにくい
通常の矯正治療(ワイヤー矯正、マウスピース矯正)では矯正装置を用いて力をかけ、歯並びを整えます。力をかけて現在とは異なる場所へ歯を動かす、という特性上、通常の矯正治療では、生体現象によって歯並びが元の位置に戻ろうとする「後戻り」の力が発生します。後戻りにより、矯正前の歯並びに戻ってしまうケースも。
通常の矯正治療において、切っても切り離せない大きな問題の一つ、後戻り。
一方、咬合誘導は治療後、歯並びの後戻りが起きにくい点が特長です。
咬合誘導では通常の矯正治療のように装置を用いて力をかけ、歯を動かすことはしません。
歯に力をかけるのではなく、咬合誘導ではアクティビティー(お口・身体の機能トレーニング)や就寝中&日中1~2時間程度のマウスピースの装着によりお子さまの顎の骨格を適切に広げ、正しいお口の使い方を身につけさせることを目指します。
お子さまの顎の骨格を適切に広げ、生え変わりの際、まっすぐ永久歯が生えるために必要なお口の中のスペースを確保していく点が咬合誘導の特長です。お口の中にスペースを確保することで歯にかかる力が低減されるため、咬合誘導では治療後の歯並びの後戻りが起きにくくなります。
{正しいお口の使い方を身につけ、舌の位置を正常化することで後戻りが起きにくくなります}
咬合誘導では顎の骨の健全な成長をうながすと共に、お子さまに以下の「正しいお口の使い方」が身につくよう、治療を行います。
①食事、会話以外はお口を閉じて鼻呼吸する
②正しいお口の使い方(のどの筋肉のみを使って飲む、全体の歯でしっかり噛む)を身につける
③舌の位置を正常化する
正しいお口の使い方を身につけ、舌の位置を正常化することで、誤ったお口の使い方・誤った舌位置(低位舌)で生じる歯並びへの過剰な負荷が発生しにくくなります。過剰な負荷の抑制により、矯正後の後戻りが起きにくい点が咬合誘導のメリットの一つです。
メリット④ 歯を抜かずに矯正できる
咬合誘導では、原則として、矯正のための抜歯は行いません(※)。
(※)重度の歯並びの乱れで歯を抜く必要があ
るケースでは、抜歯を行うことがあります。
抜歯をせず、お子さまの顎の骨の健全な成長をうながすことで、まっすぐ永久歯が生えてくるために必要なスペースの確保を目指します。
メリット⑤ 2期治療が必要になった場合、矯正期間を短縮しやすい
お子さまの歯並びの乱れ方によっては、咬合誘導による1期治療の後に2期治療が必要になる場合があります。2期治療ではワイヤー装置やマウスピースを用い、通常の矯正治療(装置で力をかけて歯を動かす矯正治療)を行います。
咬合誘導はお子さまの顎の骨の健全な成長をうながすのが目的です。咬合誘導によって顎の骨格が適切に広がるとお口の中にスペースが確保され、歯を動かしやすくなります。
すでにスペースが確保されており歯を動かしやすい状態のため、咬合治療の後に2期治療が必要になった場合、矯正期間の短縮につながります。
【お子さまの歯並びの乱れや悪い癖でお困りの方はお気軽にご相談ください】
【お子さまの歯並びの乱れや悪い癖でお困りの方はお気軽にご相談ください】
咬合誘導はお子さまが小さな時期(5~9歳頃まで)しか行えません。お子さまの顎が未成熟でやわらかい時期に咬合誘導を行うことで将来の綺麗な歯並び、および、バランスの取れたお顔立ちにアプローチできます。咬合誘導により、お子さまに正しいお口の使い方が身につく効果も期待できます。
小さなお子さまを対象にした咬合誘導「マイオブレース矯正」については、ブログにて詳しくご説明しています。併せてご参照ください。
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