「ウチの子、いつもポカンと口を開けている…」
「舌で前歯の裏側を押す癖がある…」
「水やジュースを口にためて頬で押し込むように飲んでいる…」
お子さまにこのような悪い癖、ありませんでしょうか?もし、上記のような悪い癖がある場合、癖が原因で歯並びが乱れてしまう可能性があります。
今回は「子どもの歯並びを乱れさせる原因」および「小さな子どものうちから歯並びの改善にアプローチ」についてお話しします。
目次
■子どもの歯並びを乱れさせる原因
◎口呼吸や舌癖、変な飲み方などの悪い癖が歯並びを乱れさせる原因に
歯並びの乱れをひき起こす要因は先天的・後天的、2つあります。
・先天的要因 遺伝などで生まれつき歯並びが乱れている(顎の骨格異常を含む)
・後天的要因 口呼吸や舌癖、変な飲み方、変な噛み方などが原因で歯並びが乱れる
歯並びの乱れは生まれつきのもの、と思われがちです。しかし、実際は生まれつきの歯並びの乱れは少なく、歯並びの乱れのほとんどが口呼吸や舌癖など、子どものときの悪い癖が原因でひき起こされると考えられています。
■なぜ、子どものときの悪い癖が歯並びを乱れさせる原因になるの?
①口呼吸や変な飲み方などの悪い癖があると顎の成長がさまたげられやすい
口呼吸でいつもポカンと口を開けていたり、水やジュースを口にためて頬の力で押し込むなどの変な飲み方をしているとお口周り、のど周りの筋肉がしっかり鍛えられません。子どものうちに鍛えられるべきお口周り、のど周りの筋肉がしっかり鍛えられないと、筋肉バランスの乱れによって顎の成長がさまたげられてしまうことがあります。
顎の成長がさまたげられると顎の骨格が小さいままの状態で子どもが育ちます。顎が小さいまま育った結果、まっすぐ永久歯が生えてくるスペースが足りなくなって歯が変な角度や変な位置に生え、ガタガタ歯などの歯並びの乱れが起きやすくなってしまうのです。
顎が小さいまま育つと口ゴボ(下顎が小さく口元が突き出した状態)、顎なし顔、ゴリラ顔になることもあり、お顔立ちにも悪影響が出やすくなります。
②指しゃぶり、舌癖、うつぶせ寝などの悪い癖があると歯や顎に過剰な負荷・アンバランスな力がかかりやすい
指しゃぶりや爪を噛む、舌癖(※)、頬杖、うつぶせ寝などの悪い癖があると歯や顎に過剰な負荷・アンバランスな力がかかります。
(※)舌癖(ぜつへき)・・・舌で前歯の裏側を押す、
上下の前歯のあいだに舌を出すなどの悪い癖。
過剰な負荷・アンバランスな力がかかることで歯の傾きが大きくなったり歯と歯の間隔が開いてしまい、出っ歯や受け口、すきっ歯、開咬(※)などの歯並びの乱れがひき起こされやすくなります。
(※)開咬(かいこう)・・・上下の前歯をきちんと閉じられない歯並びの乱れ。
また、過剰な負荷・アンバランスな力がかかることでお口周りの筋肉バランスや顎の骨格形成にも悪影響をおよぼし、受け口、交叉咬合(※)などの歯並びの乱れがひき起こされやすくなります。
(※)交叉咬合(こうさこうごう)・・・下の奥歯の一部が上の奥歯よりも
外側に出てしまい、きちんと歯が噛み合わなくなる歯並びの乱れ。
■小さな子どものうちから歯並びの改善にアプローチ
◎歯並びを乱れさせる悪い癖を改善し、顎の健全な成長をうながす「咬合誘導」
口呼吸や舌癖、変な飲み方などの悪い癖は歯並びを乱れさせる大きな原因です。
小児矯正の1期治療(6~12歳頃)では歯並びを乱れさせる悪い癖を改善し、子どもの顎の健全な成長をうながす「咬合誘導(こうごうゆうどう)」を行います。
≪咬合誘導の種類≫
・床矯正(しょうきょうせい)
取り外し式の拡大装置を装着し、顎と歯列を適切に広げていきます。顎と歯列を適切に広げることでまっすぐ永久歯が生えてくるスペースの確保につなげます。
・マイオブレース
取り外し式のマウスピース(トレーナー)を用い、お口周りの筋肉トレーニング(アクティビティ)を行うと共に日中1時間+就寝中にマウスピースを装着します。
アクティビティとマウスピースの装着によって顎の健全な成長をうながし、舌位置の正常化、および、正しいお口の使い方(正しく飲む・正しく噛む・鼻呼吸する)の獲得を目指します。
・インビザラインファースト
取り外し式のマウスピース(アライナー)を用い、顎と歯列を適切に広げると共に歯並びを整えていきます。
◎咬合誘導のメリット
咬合誘導は歯並びの乱れをひき起こす原因になる悪い癖を改善し、顎の健全な成長をうながす小児矯正です。装置で力をかけて歯を動かす通常の矯正治療は行いません(※1)(※2)。
(※1)歯並びの乱れが大きい場合はワイヤー矯正や
マウスピース矯正を行うケースがあります。
(※2)顎の骨格異常による歯並びの乱れは外科的矯正
(顎の骨切り手術など)が必要になる場合があります。
<咬合誘導のメリット>
・以下の要素の獲得を目指して治療を行い、歯並びを乱れさせる原因の根本的改善にアプローチするため、矯正後の後戻り(歯並びが元の位置に戻ってしまうこと)が起きにくい
①顎の健全な成長をうながし、まっすぐ永久歯が生えるスペースを確保する
②舌位置の正常化
③お口周りの筋肉バランスを整える
・顎と歯列を適切に広げるため、2期治療(12歳頃~成人まで)で矯正が必要になったときに口腔内にスペースの余裕ができて歯並びを整えやすくなり、矯正期間の短縮につながる
【口呼吸や舌癖、変な飲み方など、お子さまに悪い癖がある場合はお早めにご相談ください】
小児矯正の咬合誘導はお子さまの顎がやわらかく未成熟な5~9歳頃にしか行えません。9歳頃を過ぎてしまうと顎の骨格が固まり始めるため、咬合誘導が難しくなります。
咬合誘導(マイオブレース矯正)では以下の要素の獲得を目指し、お子さまの将来の綺麗な歯並び、バランスの取れたお顔立ちにつなげます。
<マイオブレース矯正の目的>
①顎の健全な成長をうながす
②食事、会話以外はお口を閉じて鼻呼吸する
③正しいお口の使い方(正しく飲む、正しく噛む)を身につける
④舌の位置を正常化する
⑤歯並びを乱れさせる悪い癖(口呼吸、舌癖、変な飲み方、指しゃぶりなど)を改善する
咬合誘導はマイオブレース矯正をはじめとして、床矯正、インビザラインファーストなどの種類があります。お子さまの歯並びの乱れ方や顎の状態に合わせ、歯科医師が適切な治療方法をご提案いたします(※1)(※2)(※3)。
(※1)歯並びの乱れが大きい場合はワイヤー矯正や
マウスピース矯正を行うケースがあります。
(※2)顎の骨格異常による歯並びの乱れは外科的矯正
(顎の骨切り手術など)が必要になる場合があります。
(※3)小児矯正の2期治療では通常のワイヤー
矯正、または、マウスピース矯正を行います。
口呼吸や舌癖、変な飲み方など、お子さまに悪い癖がある場合はお早めにご相談ください。相談費は無料です。カウンセリングのご予約はお電話・WEBのほか、LINEからも受け付けております。